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井伊直弼

ハリスが見た井伊直弼の実像──日米修好通商条約の舞台裏

タウンゼント・ハリスと井伊直弼の条約交渉を描いた図解イラスト
kirishima

幕末の日本において、アメリカの外交官タウンゼント・ハリスと、幕府の大老・井伊直弼は、日米修好通商条約の締結を通じて深く関わりました。ハリスは井伊直弼をどのように評価していたのでしょうか。一次史料であるハリスの日記や書簡から、その実像を探ります。

1. ハリスの評価:井伊直弼は「誠実で勇気ある指導者」

タウンゼント・ハリスの肖像と、彼が井伊直弼を称賛する言葉」

ハリスは、井伊直弼を「誠実で勇気ある指導者」として高く評価していました。彼の決断力と責任感に感銘を受けていたことが、日記や書簡から伺えます。

「公正で聡明、そして勇気ある人物である」

「彼(井伊)がいなければ、条約は成立しなかっただろう」

井伊が朝廷の勅許なしに条約に調印するという、当時としては極めて大胆な行動に出たことに、ハリスは「日本にもここまで現実的な判断ができる指導者がいた」と驚きと敬意をもって記録しています。


2. 交渉の背景:堀田正睦との比較

ハリスは、井伊直弼の前任である堀田正睦を「誠実だが優柔不断」と評価していました。堀田は条約草案には同意したものの、朝廷の許可を得ることに固執し、最終的に失脚しました。一方、井伊は国家の安定を第一に考え、自らの責任で決断を下しました。

ハリスにとって井伊直弼は、「交渉を前進させる相手」であり、外交官として理想的なパートナーだったのです。


3. 懸念と評価の両面:安政の大獄への反応

井伊直弼がその後「安政の大獄」で反対派を弾圧していく様子を知ると、ハリスは日本国内の不穏さや体制の不安定さを感じ始めます。

「独裁的すぎるのではないか」

「開明的だが、反発も大きい人物だ」

この点で、井伊の政治手法には一抹の不安を覚えていた節があります。


4. まとめ:ハリスにとっての井伊直弼

条約交渉を通して築かれた信頼関係を示すイメージ図
視点内容
交渉力条約成立に不可欠な現実主義者として高評価
人間性聡明で決断力があり、公正
政治姿勢勇気ある決断を評価しつつ、弾圧政策には懸念
全体評価「偉大な交渉相手であり、歴史に残る指導者」と見ていた
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霧島@山好き
霧島@山好き
無位無官の隠居暮らし
こんにちは、ブログ「やまのこゑ、いにしえの道」へようこそ。 昔から歴史が好きで、とくに人物の生きざまや、史実の裏にある知られざる物語に惹かれてきました。 このブログでは、そんな歴史の記憶をたどりながら、実際にゆかりの地を歩いて感じたことを綴っています。 時には山の中の城跡へ、時には町に残る史跡へ。 旅はあくまで、歴史に近づくための手段です。 一緒に「歴史の声」に耳を傾けていただけたら嬉しいです。
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